「中国産」の誤解。雲南省のアガベ職人(アルチザン)たちの仕事。

日本のアガベマーケットにおいて、「中国産」という言葉は、しばしば複雑な意味を持ちます。
多くの人は、巨大な工場でメリクロン(組織培养)技術によって大量生産された、均一で安価な苗を想像するかもしれません。

確かに、それも中国のアガベ産業の一面です。しかし、それが全てではありません。

私たち CAUSE TOKYO がパートナーシップを結んでいる雲南省の生産者たちは、そうした大量生産工場とは一線を画す存在です。彼らはビジネスマンというよりは、「職人(アルチザン)」と呼ぶべき人々です。

アガベという植物に魅せられた職人たち

私たちが提携する雲南省の山間部にいる生産者たちは、良い意味で「アガベのオタク」です。

彼らは無数の株の中から、それぞれの個体差を驚くほど細かく把握しています。
「この株は、あの親株からの変異で、ここが面白いんだ」

彼らと話していると、「いかにカッコいいアガベを作るか」という情熱に驚かされます。
その姿勢は、日本の熱心な趣味家や育種家の方々と何ら変わりません。

自然環境という「道具」を使いこなす

彼らの凄さは、雲南省の過酷な自然環境(標高2000mの紫外線と乾燥)を、最高の「育成ツール」として使いこなしている点にあります。

最新の設備で環境を完全にコントロールするのではなく、あえて厳しい自然に晒し、植物の潜在能力を引き出す。それは、長年の経験と勘がなければできない「職人芸」です。

私たちが日本へ連れて帰るのは、そんな彼らの情熱と技術の結晶です。
産地に対する先入観ではなく、一人の職人が作り上げた「作品」として見ていただければ、その価値が伝わるはずです。

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